「格付け」とは、(社)日本食肉格付協会が全国共通の基準に沿って行うランク付けのことで、等級の格付けは歩留等級の3区分(A、B、C)と、肉質等級の5区分(1、2、3、4、5)でそれぞれ評価されたものを統合し、合計で15通りあります。正式には「枝肉取引規格」といい、食肉を適正価格で取引するための基準となります。枝肉とは肉牛の体から皮や頭足、内臓を取り除いた状態のことを言います。これを中央から左右2つに切り分けた状態で格付けやセリが行われ、その後、部分肉(枝肉を脱骨して各部分に分割し、余分な脂肪などを除去して整形したもの)から部位別の精肉となって私たちに届きます。
枝肉から得られる部分肉の重量を3等級(A,B,C)で表したものです。歩留等級は「歩留基準値」と呼ばれる数値を計算式に当てはめて、そこから算出された数値と格付表を照合することで出されます。
等級 | 項目(歩留) |
---|---|
A | 部分肉歩留が標準より良いもの |
B | 部分肉歩留の標準のもの |
C | 部分肉歩留が標準より劣るもの |
歩留基準値=67.37+(0.130×胸最長筋面積)+(0.667×バラの厚さ)-(0.025×冷と体重)-(0.896×皮下脂肪の厚さ)
歩留等級の判別
等級 | 歩留基準値 | (部分肉)歩留 |
---|---|---|
A | 72.0以上 | 部分肉歩留が標準より良いもの |
B | 69.0以上72.0未満 | 部分肉歩留が標準のもの |
C | 69.0未満 | 部分肉歩留が標準より劣るもの |
上記の計算式から判別された歩留等級でも筋間脂肪が枝肉重量や胸最長筋面積に対してかなり厚いものや、ももの厚みが少なく、まえともものつり合いが取れていないものに関しては補正が入り1ランク下がることがあります。
肉質等級は、「脂肪交雑(霜降り)」「肉の色沢」「肉の締まり及びキメ」「脂肪の色沢と質」の4項目から、1、2、3、4、5の5等級で定められます。前の3項目に関しては、第6~7肋骨間切開面の胸最長筋や背半棘筋、頭半棘筋の断面から判断され、第4項目「脂肪の色沢と質」については切開面の皮下脂肪や筋間脂肪、枝肉の外面及び内面脂肪の4部位から判定されます。
項目/ 等級 | 脂肪交雑 | 肉の色沢 | 肉の締まり及びきめ | 脂肪の色沢と質 |
---|---|---|---|---|
5 | 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がかなり多いもの | 肉色及び光沢がかなり良いもの | 締まりはかなり良く、きめがかなり細かいもの | 脂肪の色、光沢及び質がかなり良いもの |
4 | 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がかなり多いもの | 肉色及び光沢がやや良いもの | 締まりはやや良く、きめがやや細かいもの | 脂肪の色、光沢及び質がやや良いもの |
3 | 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑が標準のもの | 肉色及び光沢が標準のもの | 締まり及びきめが標準のもの | 脂肪の色、光沢及び質が標準のもの |
2 | 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がやや少ないもの | 肉色及び光沢が標準に準ずるもの | 締まり及びきめが標準に準ずるもの | 脂肪の色、光沢及び質が標準に準ずるもの |
1 | 胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がほとんどないもの | 肉色及び光沢が劣るもの | 締まりが劣り又はきめが粗いもの | 脂肪の色、光沢及び質が劣るもの |
ロース芯部分に含まれる脂肪分(サシ)の蓄積具合から判断されるレベル分けです。サシの蓄積具合とは霜降りの具合をさします。この基準には12段階に分かれたチャート(B.M.S)が使われて等級が判定されます。「BMS」とは、B(ビーフ)M(マーブリング)S(スタンダード)の略称です。
等級 | 脂肪交雑脂肪交雑 | BMS No. |
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5 | かなり多いもの | No.8~No.12 |
4 | やや多いもの | No.5~No.7 |
3 | 標準のもの | No.3~No.4 |
2 | やや少ないもの | No.2 |
1 | ほとんどないもの | No.1 |
色の光沢の判定は、牛肉の色を評価する基準(BCS)と光沢のバランスによって定められています。「BCS」とはB(ビーフ)C(カラー)S(スタンダード)の略で、7段階(No.1~No.7)のうちNo.3~5が最良となっています。
等級 | 肉色及び光沢 | BCS No. | 光沢 |
---|---|---|---|
5 | かなり良いもの | No.3~No.5 | かなり良いもの |
4 | やや良いもの | No.2~No.6 | やや良いもの |
3 | 標準のもの | No.1~No.6 | 標準のもの |
2 | 標準に準ずるもの | No.1~No.7 | 標準に準ずるもの |
1 | 劣るもの | 等級5~2以外のもの |
肉の保水力を示す締まりと、きめ細かさなどを元に判定します。この判定は決められた表を元に判断されるのではなく、肉眼で行われます。
等級 | 肉の締まり及びきめ | 締まり | きめ |
---|---|---|---|
5 | かなり良いもの | かなり良いもの | かなり細かいもの |
4 | やや良いもの | やや良いもの | やや細かい |
3 | 標準のもの | 標準のもの | 標準のもの |
2 | 標準に準ずるもの | 標準に準ずるもの | 標準に準ずるもの |
1 | 劣るもの | 劣るもの | 粗いもの |
脂肪の色沢と質の判定は、脂肪の色を評価する基準(BFS)と脂肪の光沢と質のバランスによって定められます。「BFS」とはB(ビーフ)F(ファット)S(スタンダード)の略で、7段階(No.1~No.7)のうちNo.1~4が最良となっています。
等級 | 肉色及び光沢 | BFS No. | 光沢と質 |
---|---|---|---|
5 | かなり良いもの | No.1~No.4 | かなり良いもの |
4 | やや良いもの | No.1~No.5 | やや良いもの |
3 | 標準のもの | No.1~No.6 | 標準のもの |
2 | 標準に準ずるもの | No.1~No.7 | 標準に準ずるもの |
1 | 劣るもの | 等級5~2以外のもの |
4項目の審査結果から、最も低いランクのものを「肉質等級」とします。例えば「肉の色沢」がランク3で他は全てランク5だとしても、1つでも3のランクがついてしまえばこの牛肉の肉質等級は「3」となります。肉質等級「5」の称号を得るには、4項目全てにおいて最高ランク5とならなければなりません。このように、牛肉は厳格な審査のもとに格付けされています。